実は単純な話
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
「マチネの終わりに」の
主人公である蒔野(プロのクラシックギタリスト)と洋子(ジャーナリスト)の初めての逢瀬の時、洋子の昔話を聞いた後に蒔野はこう言った。
福山雅治さんと石田ゆり子さんが主演で映画にもなったお話。
このセリフの意味がイマイチ理解できずにいた。
映画は2019年に上映されてますが、
これから観ようと思われてる方はネタバレが含まれますので、お戻りくださいませm(_ _)m
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楽しかった思い出の場所が
同じ場所で不幸な出来事が起こり
辛い思い出の場所になってしまう
辛い思い出だと思い込んでいたことが
実は誰かの手によって変えられていた
誤解だと気がついた時
ある出来事により
洋子はPTSDの症状に悩まされていた
精神科医にこう言われます
「もとの自分に戻ろうとするのではなくて、
体験後の自分を、受け容れ可能なかたちで作っていくことができれば、症状はやがて消えていくでしょう」
その時、蒔野から言われた言葉を思い出して
「過去は変えられる」ということだと、、
これは、とても腑に落ちた。
嫌な体験をした場合、その前の自分、状況に戻りたいと思う。けど、とてもとても勇気のいる事だけど、可能な限り可能な形で受け入れることが出来たなら……
「過去が変えられる」とも言えるのだろうな。
洋子は、幼少期に父と暮らせなかったこと、父が自身の経歴から母と洋子の存在を抹消していることにずっとわだかまりを抱えていた
愛されていたが故に父から遠ざけられていたことを知った洋子は、その事実に
「過去の自分」の哀しみが浄化されたのを感じたようでした。
たった一度の偽メールで引き裂かれた
蒔野と洋子。
別々の人生を歩みながら、
ずっと互いを心の支えとしてきた二人。
もし次に再会することがあったなら…
その時に過去がどのように変わるのか?
と考え続ける。
二人とも理性ではもう二度と会わない方がいいと思っているのに、ふと気がつくと「彼(彼女)に会いたい」と考えている。
お互いに子供がいたり配偶者がいたりして、不誠実なことはできないという責任感も持ち合わせている上で、それでももう一度出会うことを選んだ二人。
ラスト、2人が再会するシーンはめちゃくちゃ素敵です。
「過去が変わる」瞬間
繰り返しになるけど、
もとの自分に戻ろうとするのではなくて、
「体験後の自分を、受け容れ可能なかたちで作っていくことができれば、症状はやがて消えていくでしょう」
体験してしまったことを無かったことにはできない。もとの自分を取り戻そうとするよりも、体験後の自分を受け入れること。
これって、皆さん、小さな問題は無意識にしている事。
だから
生きていける。前に進める。
とても勇気のいる事だけど。
なんてことを、秋の夜長に考えてみた😊
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